- NFT詐欺(ラグプル)の実例と手口
- NFT詐欺を見抜くための重要なチェックポイント
- 具体的なリスク対策方法
- コミュニティの重要性
この記事では、実際に起きたAstar NetworkのNFT詐欺事件を徹底解析していきます。
「完売後の突然の失踪」や「DAOウォレットからの資金流出」など、その手口は巧妙です。
さらに、プロジェクトの信頼性を確認する具体的な方法や、投資額の設定など、実践的な対策を詳しく紹介。
結論からお伝えすると、発売前にラグプル(詐欺)を見抜くのはほぼ不可能です。
AstarのNFTということで、筆者もASTARIANSとAstar BotsというNFTを実際に購入し、今もメタマスクに保管されています。
実際に詐欺に遭ってみると、思いのほか落ち込みました。
あなやがNFT詐欺の被害者にならないために、少しでも筆者の経験を判断材料としてお使いください。
- ラグプルとは?
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DAO資金の持ち逃げや、発売(MINT)前に発表していたロードマップが遂行されず運営が姿をくらます事を言います。
ラグプル(RugPull)=「詐欺」
Astar NetworkからNFTが多数発売される
日本初のパブリックチェーンとして2022年1月から動き出したAstar Network。
パブリックチェーンとは、誰でも自由にネットワークに参加できる公共性の高いブロックチェーンのことですが、それに合わせてさまざまなNFTのプロジェクトが立ち上がりました。
第一弾ゴリラのNFTアート「Astar Degens」
第二弾CryptoPunksをモチーフにした「AstarPunks」
第三弾ロボットの形をしたAstarBots
Azukiをモチーフにした横顔風デザインのASTARIANS
この4つのNFTプロジェクトは売れ行きが爆発的でした。
売り切れにかかった時間
- Astar Degens
- 36時間で売り切れ
- AstarPunks
- 40分で売り切れ
- AstarBots
- 15分で売り切れ
- ASTARIANS
- 3分で売り切れ
Astar Degens・AstarPunksがリリースされ、徐々にAstar NetworkのNFT情報が拡散された事による人気だと思います。
瞬く間に人気に火がついたということでしょう。
AstarBotsは、人気がありすぎて購入画面まで辿り着けない人が続出。
プレセールで買えなかった人は、TOFUNFTというマーケットを使い二次流通で購入していました。
TOFUNFTとは?
TOFUNFTとはNFTのアナウンス、MINT後の二次流通の場としてOpenSeaに次ぎ人気です。
多数のブロックチェーンに対応しているので、AstarだけではなくBNBやMATICといったチェーンのNFTも販売されています。
必要な通貨ペアの一部を載せておきます、参考にどうぞ。
ブロックチェーン | 必要通貨 |
---|---|
AstarのNFT | ASTR |
BCS(BNB) Chain | BNB |
Astar初のNFTラグプル(詐欺)発生
悲しいことに、AstarBotsとASTARIANSの運営が資金を持ち逃げするという、ラグプル(詐欺)が起きてしまいました。
Astar Networkが盛り上がってきた中でのラグプル(RugPull)でDiscordコミュニティも大騒ぎになります。
なぜ完全に見抜くのが難しいのか
詐欺っぽいと思っていても、発売(MINT)されるとしっかりしている運営だったということもあります。
- 発売前は細かくアナウンスをしていたのに、コミュニティへの連絡が滞り始めた。
基本的に発売後に運営側の行動が変わります。
そのため発売前にそのNFTが危険かどうかの判断が難しくなります。
筆者は2つのNFTアートでラグプル(詐欺)に遭遇しました。
この失敗を踏まえ、これからNFTを購入しようと思っている方に、少しでも危険なNFTかどうかを判断する材料になればと思っています。
AstarBotsとASTARIANSについては、有志の方々が救済措置を行っています。
ラグプルに関する一連の詳細と救済プロジェクトについてもご紹介します。
AstarBotsのNFTラグプル(詐欺)の詳細
AstarBotsとは、AstarNetwork上でローンチ(新たなプロジェクトが始動すること)されたNFTロボットのコレクションです。
見た目も可愛らしく、ブラウン管テレビのようなNFTアートでした。
2月27日の14時UTCにミント(新たにNFTを作成・発行)され、発売価格(MINT価格)は150ASTRでスタートしました。
合計8800個のNFTがわずか15分間で売り切れました。
TOFUNFTの二次流通価格も200〜400ASTRと好調なスタート。
当時は1ASTR=16.3円前後でしたので150ASTRだと日本円で約2,445円でした。
Astar DegensとAstarPunksが売り切れ、二次流通でも活発に取引がされていたので徐々にAstarのNFTの知名度も上がっていきました。
レアリティの高いものだと数十万で取引され、
- 次のAstarのNFTも同じように資産価値が出るんじゃないか?
- 機会損失をしたくない
このように考えてた人も多かったのではないでしょうか。
Astar Degens・AstarPunks・AstarBots・ASTARIANSはECOSYSTEMの画像の中にも掲載されていたので安心していた人も多かったと思います。
AstarBotsのTwitterマーケティング&フォロワーの動向
AstarBotsの公式Twitterアカウントのツイートの中で、特に重要な内容のものを時系列に追っていきます。
他のプロジェクトと比べて何か違いがあるかもしれません。
これからラグプルに遭わないためのヒントが隠されているかもしれません。
※ホワイトリストとは、事前購入権のこと
「ホワイトリスト削除し、全てのメンバーが1ウォレットにつき、6NFTミントできるようになるツイート。
ホワイトリストがなくても十分な時間はあること、そしてホワイトリストがあるとミントの際、複数のボタンを用意することになり、間違ったボタンを押すと技術的な問題になる。
メンバーが述べたように単純なものがいいということを優先した。
なお、ホワイトリストメンバーには、今後なんらかの補償をする」という内容でした。
3/2が公式Twitterでの最後のツイートになってしまいました。
AstarBotsのMINTからラグプル(詐欺)まで
発売(MINT)後、3月2日にDAOで投票会議を開始しました。
DAOとは、中央管理者がおらず参加者同士が管理し透明性の高い新しい組織の形です。
所有しているNFTの数が投票数となっていました。
その後、TOFUNFTに出品されているAstarBotsを運営が買い取り、バーン(焼却)することで全体量を減らし希少性を高めることが決定しました。
具体的には、毎日安い順にランダムで0〜5体のBotsがバーン(焼却)されるというやり方です。
バーンとは燃やすという意味で、そのNFT自体を無くしてしまうということです。
その後3月7日にDAOにてバーンする量をこのまま1日0〜5体にするか、1週間で0〜15体にするかの投票を募りました。
翌日に今までどおり1日0〜5体を継続するという結果もしっかりと報告されています。
その翌日、運営が管理するDAOウォレットから取引所に資金が移動していることをコミュニティ参加者が発見。
そこから毎日行われていたバーンシステムも作動しなくなり、Twitterも更新が止まりました。
ついに運営側が資金を持ち逃げしたことが確定してしまった瞬間でした。
AstarBots救済企画、「ASTAR ReBOTS」
4月25日現在のフロア価格は12ASTRまで落ちています。
二次流通の販売価格の一部はラグプル(詐欺)を行った運営に入ってしまいます。
ラグプルが判明した後、「Discordでは諦めたくない」「なんとかしたい」というホルダーたちが立ち上がり、救済措置を目的とした「ASTAR ReBOTS」が発足しました。
救済チームでの現状の目標がアナウンスされました
- NFT運営チームの再建
- 独自サイト制作
- Twitterアカウント立ち上げ
- 2DNFTの再作成
- 救済対象者の皆様へ今後議論で決める救済の実施
- 救済対象者に限らない全ユーザーへ2DNFTのミント
- TOFUNFTでの2時流通の復活
以上の7つが「救済」の目標です。
救済対象のアドレスは2022年3月28日(月) 00:00(JST)以前に1度でも保有した事のあるものです。
コミュニティに参加し、メタマスクの認証を済ませると「BRTトークン」が配布されます。
これは仮想通貨としては機能せず、会員証の役割として機能するトークンです。
BRTトークンをもらい、BOTSロールがDiscordコミュニティ内で付与されると今後についてを議論している「議論部屋」へ参加する事ができるようになります。
ASTARIANSとは?
ASTARIANSとは、Astar Network上で誕生したNFTプロジェクトです。
3月3日13時UTCにPrice450ASTRでスタートし、総供給量の5,000体がわずか3分で売り切れました。
デザインは横顔風のアニメーションで「AZUKI」をモチーフにしています。
AZUKIとは?
AZUKIとは、2021年11月にリリースされた日本のアニメキャラクターを彷彿とさせるNFTアートプロジェクトのことです。
全10,000体がOpenSea上で売買されており、総取引数量はなんと約17万ETH(約700億円相当)でFloor Priceは約30ETH(約1,200万相当)と高騰しています。
また、大きく5種類のタイプがあり、種類によってレア度が変わってきます。
希少性が高いものはより高額で取引されています。
それぞれのキャラクターがどんな人物でどんなストーリーを持っているのか想像を掻き立てられるのも魅力の一つです。
ASTARIANSもAZUKIにインスパイアされたデザインで作成しているように思えました。
ASTARIANSのTwitterマーケティング&フォロワーの動向
AstarBotsと同様に、ASTARIANSの公式Twitterアカウントで特に重要な内容のものを時系列に追っていきます。
- Astar NFT DAO
- 派生NFTコレクション
- ホルダー用NFTエアドロップ
- MINTの収益の50%が収益であり、二次販売の50%がAstarDAOファンドに送られる
その後、突如としてDAOウォレットから資金が移動されラグプル(RugPull)ではないか!?とDiscordコミュニティが騒然としました。
時系列的には、先にASTARIANSのラグプル(RugPull)が発覚し数日後にAstarBotsのラグプル(RugPull)です。
ASTARIANSは5分以内で完売するという凄まじい人気だったのにも関わらずラグプルが発生しました。
もちろん、Astar Degens→AstarPunks→AstarBotsとリリースされAstarのNFTが話題になっていたのも理由としてあるでしょう。
ASTARIANSのNFTアートのラグプル(詐欺)
2022/3/3にわずか3分で完売したASTARIANS。
事前のアナウンス通り、ウクライナに寄付をしています。
その後、Astarのアジア統括マネージャーであるRHEE氏がチームから去ると、たくさんの人からASTARIANS運営の連絡先を教えてくれとクレームが殺到して、RHEE氏が運営に状況を確認するためにDM送りました。
内容は、「なぜいろいろな人からの質問に答えないのか」と聞いたところ、「アップデート中だから少し待ってくれ」という返信でした。
そしてそれが最後のやり取りとなり、今日まで沈黙を続けています。
ASTARIANSの救済プロジェクト、「Astarians Plus」
運営の最後のDiscord投稿から11日後、Yogi Bearという方がAstarians Plusという救済プロジェクトを立ち上げました。
Astarians PlusのDiscordURL
Yogi Bear氏によるとDAOの資金を盗んだ詐欺師はNFTコレクションのスマートコントラクトをコントロールする事が出来るとのこと。
画像やメタデータを変更することができるので、保有者や潜在的な買い手にとって大きなリスクがあるとのこと。
※スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で事前に設定されたルールに従って自動的に実行する仕組み
4/12には、新たにTOFUNFTのウェブサイトにてアスタリアンズ・プラス・コレクションのスコア・ランク・レアリティが公開され33%のアスタリアンズNFTがアスタリアンズプラスに変換されました。
NFTの詐欺の対策
筆者はAstarで2つのNFTプロジェクトのラグプルに遭いました。
NFTの発売前に詐欺だと断定することは不可能だと思います。
ですが、事前に調べることで対策し被害に遭う確率を下げることは可能です。
- 管理者・運営者の本人確認済み
- マルチシグでウォレットを管理している
※マルチシグとは、ウォレットにある資金を出金する際に数名の署名が必要となり個人での出金が出来ない仕組み - AstarのNFTであれば、「Astar Builders Program」に登録されていないプロジェクトは「何故登録されていないのか」理由を調べる
- 常に余剰資金で、購入する個数も限定的にする
Web3.0の概念に合わないものもあるので一概にこれがベストとは言い切れませんが、知っておくことでリスクは減らせます。
まとめ
AstarBotsとASTARIANSのラグプル(RugPull)について解説してきました。
Twitterでのマーケティング、Discordでのコミュニティの活性化を上手に行っていたこともあり詐欺と見抜くのはとても困難であるとおわかり頂けたのではないでしょうか。
仮想通貨・NFTは本当に可能性が無限大にあります。
ですがその反面、リスクも大きいのでご自身でしっかり調べた上で最終的には自己責任で判断しなければいけません。
有志の方が行っている救済企画で新たな未来に期待しましょう!